フライドポテトについて
目次
フライドポテトとは?
じゃがいもを食べやすい大きさに切って油で揚げたもので、世界中で愛される料理です。じゃがいもを素揚げにしたものや、パン粉などの衣をつけて揚げるものなどがあります。
この料理の名前は各国で呼称が異なります。日本ではフライドポテト、ポテトフライ。アメリカやカナダでは、フレンチフライ。イギリスでは、チップス。ベルギーではフリッツ。フランスではフリットと呼ばれます。
フライドポテトの歴史
17世紀のベルギー南部ワロン地域の都市ナミュールで、細く切って揚げたじゃがいもが起源と言われています。17世紀中頃に起きた大寒波の際、川が凍って漁ができないため、ナミュールの村人たちは保存食のじゃがいもを小魚のようなスティック状に切って揚げて食べたのが始まりです。
その後、第1次世界大戦にてヨーロッパに派遣されていたアメリカ兵がベルギー人からフライドポテトを分けてもらい、そこからフライドポテトが全世界に広まっていったとされています。
ベルギーでは、原料として使われるじゃがいもの品種、切り方や太さ、揚げ油などにも決まりがあり、都市ブルージュには、フリッツミュージアムと呼ばれる世界初のフライドポテト博物館もあります。
日本にフライドポテトが広まったのは1970年代になってからで、海外のハンバーガーショップが国内にオープンしたことがきっかけとなっています。
魅力
フライドポテトの原料であるじゃがいもには、人間の活動や健康的な生活に必要な栄養素が豊富に含まれています。
実は低カロリー
じゃがいもの100g当りのカロリーは76kcal。これは同量のご飯の約1/2、パンの約1/3という低カロリーです。
高血圧やむくみの解消に効果
じゃがいもにはカリウムが100g当り410mgも含まれています。カリウムにはナトリウム(塩分)を排せつする役割による高血圧への効果や、むくみの解消といった効果があります。また、長時間の運動による筋肉の痙攣などを防ぐ働きもあります。
食物繊維が豊富
じゃがいもには腸内の健康維持に欠かせない食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維には満腹感を与える効果もあり、ダイエットにも効果的です。
ビタミンが豊富
じゃがいもには、同量のみかんの2倍、りんごの3倍のビタミンCが含まれており、”畑のリンゴ”とも呼ばれています。ビタミンCは抗酸化作用によって細胞をダメージから守る働きがあり、美容に効果的と言われています。また、じゃがいものビタミンCは加熱による損失が少ないことも大きな特徴です。
ダイエットに効果
豊富な食物繊維に加え、じゃがいもにはビタミンB1、B2が含まれており、これらは同量のご飯の3倍もの量が含まれています。ビタミンB1には、脂肪を体に蓄積しにくくする働きがあります。ビタミンB2には、糖質・脂質・タンパク質の代謝をよくする働きがあります。
貧血予防
じゃがいもには同量のご飯の数倍の葉酸が含まれています。葉酸は、血液を作るのに非常に重要な役割を持っています。
栄養価
フライドポテト(皮なし)の栄養価
生のじゃがいもを皮なしで揚げた場合の栄養価(100g当たり)
成分名 | 値 | 単位 |
---|---|---|
エネルギー | 159 | kcal |
水分 | 64.2 | g |
タンパク質 | 2.7 | g |
脂質 | 5.9 | g |
炭水化物 | 26.2 | g |
ビタミンC | 16 | mg |
ビタミンB1 | 0.10 | mg |
ビタミンB2 | 0.02 | mg |
カリウム | 570 | mg |
食塩相当量 | 0 | g |
フライドポテト(皮つき)の栄養価
生のじゃがいもを皮つきで揚げた場合の栄養価(100g当たり)
成分名 | 値 | 単位 |
---|---|---|
エネルギー | 153 | kcal |
水分 | 65.2 | g |
タンパク質 | 2.7 | g |
脂質 | 5.6 | g |
炭水化物 | 25.4 | g |
ビタミンC | 16 | mg |
ビタミンB1 | 0.09 | mg |
ビタミンB2 | 0.03 | mg |
カリウム | 580 | mg |
食塩相当量 | 0 | g |
原料のじゃがいも
じゃがいもについて
フライドポテトの原料であるじゃがいもは、中南米から南米のアンデス山脈で生まれた作物です。じゃがいもの食用部分は茎が肥大したもので、実はナス科の作物です(トマトやピーマンの仲間)。日本ではじゃがいものことを”馬鈴薯(ばれいしょ)”とも呼びます。
じゃがいもの生育適温(生育するのに好適な温度範囲)は10~23℃で、低温・少雨である方が収穫量が多くなります。国内でじゃがいもの生産量が一番多い都道府県は北海道です。
じゃがいもの国内生産量
じゃがいもの輸入量
フライドポテトに向いている品種
フライドポテトには以下の形質をもった品種が向いているとされています。
- 表面の凸凹が少ない(加工する際に芽の部分の除去が容易)
- 高でん粉価である(調理後の食感がホクホクになる)
- 還元糖含量が少ない(調理後の黒変が少ない)
- サイズが大きい(長いピースの製品を製造できる)
上記の形質を持った品種として、アメリカでは「ラセット・バーバンク」、ヨーロッパでは「ビンチェ」、日本では「ホッカイコガネ、ムサマル、こがね丸」と呼ばれる品種のじゃがいもが使われています。
家庭でフライドポテトをつくる場合には、「男爵、トヨシロ、十勝こがね、ベニアカリ」などもおすすめです。
カット
シューストリングカット
細切りされたじゃがいもを用いる日本では代表的なカットスタイルです。調理時間が短いため、ファストフード、居酒屋などで提供されています。
ストレートカット
シューストリングカットよりも太めのじゃがいもを用いて、ホクホクとした食感を楽しめるカットスタイルです。レギュラーカットとも呼ばれ、ファミリーレストランなどで提供されています。
ウェッジカット
三日月状の皮付きじゃがいもを用いて、じゃがいも本来の風味が味わえるカットスタイルです。ナチュラルカットとも呼ばれます。
クリンクルカット
波状にカットしたじゃがいもを用いるカットスタイルです。表面積が多く、カラッと揚がるのが特徴です。一部の冷凍フライドポテトでも楽しむことができます。
トルネードカット(トルネードポテト)
くるくると渦を巻いたじゃがいもを用いるカットスタイルです。他のカットに比べ同量のじゃがいもでの見た目のボリュームや華やかさに優れています。
ラティスカット
格子状のじゃがいもを用いるカットスタイルです。このカットスタイルならではのボリューム感と食べ応え感が楽しめます。
ハッシュドポテト
細かく刻んだポテトに調味料を加え、いろいろなかたちに成型したスタイルです。独特の食感を楽しむことができます。
コーティング
表面に味付きのバターなどをコーティングしたスタイルです。時間がたってもサクサク感が持続します。
国別のフライドポテトの特徴
アメリカ
アメリカのフライドポテトには、主に”ラセット・バーバンク”と呼ばれる品種のじゃがいもが使用されています。”ラセット・バーバンク”は、水分量が少なく、固形分が多いため、外はカリッと、中はホクホクとした食感のフライドポテトに仕上がります。またサイズも大きく、表面の凹凸も少ないため、フライドポテトへの加工がしやすく、比較的長いサイズのものが多いことも特徴です。日本の外食産業で最も多く使用されてるフライドポテトです。
詳しい特徴はこちらを参照ください。
ヨーロッパ
ヨーロッパのフライドポテトには、主に”ビンチェ”と呼ばれる品種のじゃがいもが使用されています。”ビンチェ”は、皮と果肉が黄色がかっており、甘味があるため、フライドポテトも黄色く、甘味があるのが特徴です。本場のベルギーでは牛脂を使って揚げるのが一般的で、家庭でも牛脂を使うとうまみが加わりさらに美味しくなります。
日本
日本のフライドポテトには、主に"ホッカイコガネ"や”ムサマル”といった品種のじゃがいもが使用されています。でんぷんを多く含んでいるため、フライドポテトにするとホクホクとした食感になり、甘みがあるのが特徴です。サイズは小ぶりなものが多いため、海外のフライドポテトと比較すると短めのものが多いです。
■じゃがいもの品種別特徴
品種 | 主産地 | 特徴 |
---|---|---|
ラセット・バーバンク | アメリカ、カナダ | ・果肉が白く芽が浅い ・水分量が少なく固形分が多い ・サイズが大きい |
ビンチェ | ヨーロッパ | ・果肉が黄色い ・甘みが強い ・型崩れに強い |
ホッカイコガネ、ムサマル、こがね丸 | 日本 | ・でんぷんを多く含んでいる ・凹凸が少なく加工しやすい ・小ぶりなものが多い |
冷凍フライドポテトについて
冷凍フライドポテトに関する情報はこちら
フライドポテトを使った料理
ローディッド・フライ
「ローディッド(loaded)」は、英語では「荷物を山積みにした」という意味であり、山盛りのフライドポテトにさまざまなソースや具材をたっぷりとのせた料理のことです。ボリューム感のある一品料理として、全米各地の人気レストランでもメニューに取り入れられています。詳細はこちら。
プーティン
フライドポテトに、肉汁から作られたグレイビーソースと粒状のチーズをかけた代表的なカナダ料理です。1950年代にカナダのケベック州で誕生し、以降は地域や家庭によって多少味の違いはあるものの、カナダであれば誰でも知っているファストフードです。
ギロピタ
ギリシャの名物料理で、ケバブのように薄切り肉を棒に重ねて刺し、棒を回しながら横から火で炙り、焼けたところからそぎ落とした肉(ギロス)を、フライドポテト、タマネギのスライス、ザジキ、トマトなどと一緒にピタと呼ばれるパンに挟んで食べるファストフードです。
チップシマヤイ
フライドポテトを卵でとじて焼いたタンザニア料理です。
フライドポテトに関連する協会・団体
米国ポテト協会
- 米国ポテト協会 日本代表事務所
- 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋1-5-9 精文館ビル5F
- マーケット・メイカーズ・インク内
- info@potatous-jp.com
- https://www.potatoesusa-japan.com/
※その他の協会・団体についても順次掲載予定です。