冷凍フライドポテトについて

調理工程

1. 貯蔵

収穫したじゃがいもの品質を損ねないよう、温度や湿度が厳格に調整された保管庫で冷凍フライドポテトの製造まで管理されます。⾼温貯蔵はじゃがいもの発芽を誘発し、低温貯蔵は糖度を増加させるため、この保管条件は非常に重要です。通常6〜8°Cで保管され、輸送前に15〜18°Cで2〜3週間再調整されます。

2. 洗浄

工場へ搬入されたじゃがいもは品質の確認後、洗浄により石や砂などの異物を取り除きます。

3. 皮むき

じゃがいもの皮むきは果肉の損失が少ない高圧スチームピーラーによる蒸気剥離で行われるのが一般的です。蒸気により分離した皮はブラシローラーにより取り除かれます。

4. トリミング

じゃがいもにはブラックスポットと呼ばれる黒い斑点や収穫時の打撲痕がつきものです。これらはトリミングの工程によって取り除かれます。

5. カッティング

この工程ではじゃがいもがフライドポテトの形にカットされます。カットによって生じたナビンと呼ばれる短いポテトやスライバーと呼ばれる薄いポテトは取り除かれます。

6. ディフェクト除去

トリミングで除去しきれなかった芽やブラックスポットを特殊な機器で除去します。

7. ブランチング

その後、70℃〜95℃で数分間下茹でされます。このブランチングにより酵素の不活性化、糖度の制御、食感の改善、吸油率の減少など様々な効果があります。

8. 乾燥

ブランチング後に部分的に乾燥させ、余分な水分を取り除きます。この乾燥によりカットされたじゃがいもの水分含有量を70〜75%とします。

9. プリフライ

プリフライの工程で水分を飛ばし、クリスピーな食感を引き出したり仕上がりの色や調理時間を想定した下調理が行われます。この工程では175℃〜200℃の油で調理されます。また、プリフライ後には余分な油を振動によって除去します。

10. 冷凍

プリフライ後には約-39℃での急速冷凍により、でんぷん細胞の破壊を妨ぎ、クリスピーな食感やおいしさが損なわれないようにします。また、この急速冷凍により、バクテリアの繁殖やポテトの結合を妨ぎます。

出典:French Fries Machines「How to Produce Frozen French Fries」、GELGOOG「How to Automatically Make French Fries? French Fries Manufacturing Process」、PiGo「French Fries Processing」、プロット・ジャパン株式会社「商品情報」、日本マッケイン・フーズ株式会社「フレンチフライポテトができるまで」、Wil van Loon「Process innovation and quality aspects of French fries」

規格管理

フライドポテト製品(特にアメリカ産のフライドポテト製品)には、長さ及び品質に関して米国の農務省が義務付けた規格が存在しており、これに準拠して製造および販売を行なっています。

規格化の経緯

1966年に米国農務省(UDSA)により、秩序ある農作物のマーケティングを促進するために制定された規格です。規格のグレード基準は、生産者、サプライヤー、バイヤーおよび消費者の自主的な使用を目的としています。

長さの基準

基準詳細
ELF(Extra Long Fancy)30%が約7.5cm(3インチ)以上、80%が約5cm(2インチ)以上
LF(Long Fancy)15%が約7.5cm(3インチ)以上、70%が約5cm(2インチ)以上
Midium50%が約5cm(2インチ)以上
Short50%が約5cm(2インチ)未満

品質の基準

「US Grade A、US Grade B、規格外」の3つのグレードによって品質を分類。「風味、色、サイズと対称性、ディフェクト(欠陥)、質感」の基準を用いて100点満点で採点し、グレードを決定しています。

グレード基準
US Grade A90点以上
US Grade B80点以上
規格外上記以外

生産量

アメリカ

年度国内のじゃがいも生産量(単位:t)冷凍フライドポテトの加工量(単位:t)割合(%)
202019,051,7877,058,94037.05
201919,251,3227,366,06838.26
201820,412,5647,399,90636.25
201720,453,4337,066,87834.55
201620,426,3537,120,71934.86
出典:米国農務省(UDSA)

日本

年度国内のじゃがいも生産量(単位:t)冷凍フライドポテトの加工量(単位:t)割合(%)
20192,399,00026,1001.09
20182,260,00018,3000.81
20172,395,00013,3000.56
20162,199,00014,1000.64
20152,406,00019,1000.79
出典:農林水産省「令和2年度いも・でん粉に関する資料」

流通

冷凍フライドポテトの輸入量

国別、年度別の輸入量(単位:t) 出典:財務省「貿易統計」HSコード:2004.10-100

冷凍フライドポテトの輸入ルート

冷凍フライドポテトの輸入は、主にコンテナ船を使用した海上輸送にて行われています。

主要輸出港
アメリカロサンゼルス/ロングビーチ港
カナダバンクーバー港
オランダロッテルダム港
ベルギーアントワープ港
中国上海港

消費量

国内の冷凍フライドポテト消費量(単位:t)

出典:財務省「貿易統計」HSコード:2004.10-100、農林水産省「令和2年度いも・でん粉に関する資料」

計算方法は以下の合算:

  • 調製したばれいしょ(冷凍)(税番 2004.10-100)の輸入量
  • 国内産ばれいしょの加工食品用仕向量の内、フレンチフライへの加工を目的としたもの

原産国別、国内の冷凍フライドポテト消費量(単位:t)

出典:財務省「貿易統計」HSコード:2004.10-100
1995年2000年2005年2010年2015年2020年
日本36,90030,10014,20011,50019,10021,900
アメリカ162,330192,621172,646219,788162,251193,433
カナダ17,90132,08037,42423,83620,4069,118
ベルギー2821741,95311,16022,46526,390
オランダ1,3881,0527749814,62518,982
中国150260701787374428
その他1,2001,4136,8238,5679,0946,134
原産国別、国内の冷凍フライドポテト消費量の詳細(単位:t)